嚴島神社「錦包藤巻太刀・腰刀」復元奉納プロジェクト
- 2019/12/05
- 16:25
刀匠の三上貞直先生の御活動をご紹介させて頂きます。
題して、「嚴島神社『錦包藤巻太刀・腰刀』復元奉納プロジェクト」
ざっくりまとめますと、広島の宮島にある嚴島神社の所蔵品「錦包藤巻の太刀と腰刀」、外装の痛みのひどいこの刀を新たに制作、外装も復元して嚴島神社に奉納しようというものです。
現在太刀と腰刀の刀身は出来ていますが、外装はこれからという段階。
しかし、日本刀の外装の制作には熟練した技術者が大勢従事する必要があり、相応の対価が必要になります。そしてこの企画では復元という目的のために、通常以上に経費が必要になるようですね。
その資金の一部をクラウドファンディングで賄おうとする企画です。
事業の性質上ほぼ「出資=寄付」という形になりますが、御支援いただいた方には後日出資額に応じた記念品が贈呈されるようです。
詳しくは上記のページをご覧ください。
三上先生の熱い志がひしひしと伝わってまいります!
恥ずかしながら、僕にはこうした伝統への強い思い入れがありません。
僕のナイフ作りの核の部分は、ナイフを作り始めた子供の頃に親しんだゲームの、何故か中世ヨーロッパ風の武具などで出来ています。
大学生の時分に三上先生の観賞会で出会った日本刀は、その外側で「こういうナイフを作りたい!」という部分を肉付けしてくれている気がします。
どちらも今の作品制作の大事な要素ですが、日本刀については後から知識として得た感覚があり、僕の中心の自我らしき部分からは少し距離があります。
また、日本刀は鋼として、刃物として綺麗だと思うのですが、歴史などがいまいち覚えられず…
「日本の伝統文化!!」というちょっと高尚な世界と僕は、縁遠いように思っていました。
しかし近年は、自分も日本で育った日本人と思い知る機会も多く、中心部にもちょっぴりとその要素を感じるようになりました。
例えば、先日外注先に作品をお持ちした折、それをご覧になるや否や「議論じゃ!」とのお声をいただくことがありました。
当初は変わった御感想だと受け止めましたが、よくお伺いするとなにかの名前のようなもので、僕の作品がそれに似ているとのことです。
調べてみると、僕が生まれる前の映像作品に出てくる「包丁怪獣」なるものが見つかりました。
制作・発表を重ねる中で、このように昔の知らない作品の影響をご指摘いただいた経験は何度かあります。
僕が触れた文化を作った上の世代の方々は、僕の知っている以前の文化に触れて来られていたはずで、それを作った方々もまたさらに前の文化に…
先人の文化が染み込んだ土壌で育つ次世代の文化は、どんなに姿に成ろうともその影響を免れないようです。
こう考えると、僕もしっかりと日本の伝統の流れの中に生きているようで、中心にも日本刀の一欠片くらいは取りこんでいそうです。
自分のルーツを感じたそんな時、改めて先人の足跡に触れてみたくなりますね。
ありがたい事に、日本には各地に有形・無形の文化遺産が残っています。
それらは後世に遺そうという方々の御尽力で現代に伝えられています。
三上先生のこの企画も、そうした努力のひとつです。
このブログを読んでくださっている皆様は心の中に鉄や刃物への強めの想いを抱いておられるかと思います。その成分には日本刀由来の要素もきっと、それなりの割合で含まれるはずです。
保存活動に参加できる機会ですので是非是非!
…と積極的にお勧めしたいところなのですが、御賛同いただける場合はお金が関わることですので、もう少々ご説明させていただきます。
まず、このクラウドファンディングサイトcasanellを運営する「株式会社ジャパングローサーズ」さんについてですが、調べてもあまり情報が見つかりません。
どうやらごく最近立ち上げた会社で、今のところのcasanellの実績は有田焼きと漆の植樹とに関する2件のプロジェクトのみのようです。
そして、この漆の植樹のイベントで三上先生がスピーチしたご縁で、この企画をお願いすることにされたそうです。
まだ実績は少ないようですが、着実に活動されているようですね。
ちなみにこの件については三上先生にお伺いしたのですが、これ以上のことはご存知ないとのこと。
勢いがものすごいですね!
…あまりにも不安です。
ので先日、casanell運営会社「株式会社ジャパングローサーズ」さんにお電話して、色々と失礼なご質問をさせていただきました。
すると丁寧に御対応いただきまして、とりあえず自分のお金をお任せする分には安心しました。
頻繁に更新されている企画のwebサイトの管理はこちらが担当されており、その方面には明るくないであろう三上先生のサポートに奔走しておられるようです。
なんだか、僕が昔いくつかの企画で三上先生とご一緒させていただいたときの空気感が懐かしく思い出されました。
ということで、運営会社さんはひとまず大丈夫としまして…しかし、クラウドファンディングの仕組みそのものも不安ですね。
モノを作る前にお金を集めるわけですが、モノづくりは遅れたり頓挫したり、予定通りに進むことのほうが少ないです。
プロジェクトの主体は三上先生で、リターンの物品はそちらでご用意するようですので、何かあっても悪いようにはなさらないと思いますが…
もしも高額なコースをご検討頂く場合は、前もって三上先生に直接お問合せされるようお願い申し上げます。
ちなみに集まった寄付金の内、運営会社さんへの手数料20%を差し引いた額が三上先生のお手元に届き、そこからリターンの経費を差し引いた金額が奉納刀外装制作費となります。
また、期間内に寄付金の総額が予定額まで達しない場合には返金されるそうです。期間中は運営会社さんでお金を管理されるようですので、御不安な方はそちらにお問い合わせください。
宣伝しておきながら何ですが…リスクもありますので、やはり人様に出資をお願いするのは怖いですね。全額前金なんて重圧が強すぎますので、自分の仕事ではご容赦願いたいです。
出資していただける方には丸々失っても笑って済ませられる額で、厳島神社へのお賽銭という感覚でのご参加をお願いいたします。
企画が達成され無事に奉納までこぎつけられれば、最低額の6000円コースでも奉納名簿に名前が載るそうです。
普通に6000円投げ込むよりもご利益があるかもです!
三上先生としては、今回資金が集まらなくとも外装を復元し奉納されるおつもりの様です。
その目的は、御自身の創作意欲を満たすことにとどまらず、世界や後世にこの奉納刀の存在、そして日本刀にまつわる技術・文化を伝える事であるようにお見受けします。
しかし、モノだけ作ってもそれは完全には達成されません。
わざわざこういった企画を立ち上げられたのは、資金集めの他に多くの方に知っていただく目的があっての事かと思います。
皆様にサイトをご覧頂き、知って頂けるだけでもこの企画の成果になります。
ご興味のある方は文頭のリンク先の記事をご覧いただけますと幸いです。
そして御賛同いただける方は、この企画の特性を慎重に御検討いただいた上、是非御支援をお願いいたします。