オールニッポンナイフショウ2018にお持ちした作品です
- 2018/03/11
- 09:00
オールニッポンナイフショウ2018に行ってまいりました!


僕のテーブルで足を止めて作品をご覧になってくださった皆様、ありがとうございました!
今回の会場は、デザインクリエイティブセンター神戸「KIITO」へと戻りました。
そして期間は、従来の日曜のみではなく、土曜、日曜と二日間にわたっての開催に変更となりましたが、頂いた出展要綱には「どちらか一日でも可」との一文が。
ならば。と、費用・時間共に負担の軽い、ついでに一日納期が延びる日曜日のみの出展とさせていただいたのですが…
盛況でした!
…とはいいがたい、穏やかな早春の一日でした。
よくよく考えれば、お客様は大体初日の方が多くいらっしゃる傾向がありますね。
「納期は一日でも先送りにしたい!」そんなさもしい根性に罰が下されました。
初日は大盛況で皆様忙しくされていたとのことで、2日目の会場では、開場前から一仕事終えた、落ち着いた雰囲気が漂っていました。
メーカーの皆様がゆったりと談笑する光景もそこかしこで見られました。
こういった二日あるショウでは、メーカーさんとおしゃべりしたい方は二日目以降に行くのがよいかもしれませんね。
ギリギリに到着し、それどころではない僕のテーブルはこんな感じになりました。
今回は、前回の銀座ショーからの作品に加え、バイヤーさんに納品するねじねじしたもの五本と、和包丁の試作品を並べさせていただきました。
前回の打ち損じ包丁は、柄は間に合いませんでしたがブレイドは一応仕上がりました!
ねじねじは、昨年のこのショウでお買い上げいただいたこちらの作品…
ご好評をいただき、これを再制作した作品です。
今回は同じくらいのサイズを3本、一回り大きいものを2本制作しました。
慣れてきたので、全体的にボリュームアップしています。
一個目を作るときは、未知の形を探る創作の楽しさがありますが、二個目以降をまとめて作るときは、より上手に、より効率的にと、スポーツのような楽しさも加わってきますね。
結局、仕上がってくると効率は二の次になってきて、台の完成がギリギリになりましたが…
今回もちゃんと撮影する余裕はありませんでした。
この作品は完全に観賞用です。
ダマスカスと鍛造を利用した、質感と造形の面白さを追求しました。

もともとはこういった造形的な作品を研究していましたので、需要が出てきてうれしい限りです。

この作品は、ダマスカスでを鍛造して作ったワイヤーをより合わせたものに刃金をつけたものを、小さい方は片面に地金を、大きい方は両面に地金をつけてブレイドを作りました。
反対側は、地金の端を伸ばしてワイヤーと編んだり、鍛接したり、新しい小片を継いだりしながらひとまとめにしています。
最後は、巻いていますが、平面的な輪にならないようにひねったり膨らませたりと工夫しました。
…が、入らなかったため、台を無理やり縮めています。
そのため、少々バランスが崩れた印象でした。
今作は、最初からケースに入れることを想定し、見栄えの良いバランスにしたつもりです。
大きいほうは、サイズがケースギリギリでしたので、台の底を馬蹄型にしてコンパクトに収まるようにしています。
こうすると刃先の下はガラスケースの受け皿がそのまま見えてしまいますので、ケースに入れる際は下に薄い鏡の円盤を敷いてもらう予定です。
多分かっこよくなるはず…
台の構造は、最近多用しているパターン、溶接でテクスチャを付けた鉄板の底板と、焼いた木材を組み合わせたものです。
今回の木は、二種類の枕木用?の木を用いました。
重く、焼いたときの質感も面白く、いい選択でした。
その木に、やはりテクスチャを付けた銅製のフックを取り付け、そこに引っ掛けています。
この部品の取り付けは、この作品の全工程で一番難しいところです。
台も作品も垂直の基準があいまいな形同士、それをなんとなく真ん中にまっすぐに見えるように合わせるのは、なかなかに神経を使いました。
5つこなすと、ヘロヘロです。
しかし、無事にショウに間に合い、仕上がりもバイヤーさんにはご満足いただけたようで、ひとまず報われました。
そして今回のもう一つの新作は、こちらの包丁です。
小さいほうは、ニッケル入りダマスカス。
なんとも、ダマスカスらしい見栄えに仕上がりました。
仕上げてみますと、刃金が厚すぎたことがわかりました。
次回はもう少し攻めてみます。
大きいほうは、前回の銀座にお持ちしたククリの鋼材から、発色を見るために切り出した部材でできています。
表面にニッケルなどを貼る前の鋼材ですが、鍛造で窪んだ部分が残っており、この部分は熱処理時に脱炭した表面が残っていて白いです。
衛生的には凹凸はないほうがいい気がしますが、見た目にはいいアクセントになってくれています。
最近続けて挑戦させていただきましたので、包丁の制作工程は、どうにか僕なりの形が出来てきました。
形、厚みに関しては今回及第点をいただきましたので、このまま細部を詰めていこうと思います。
あとは実際に使い物になるかどうかですね。
焼き戻しや刃付けの加減は、ちゃんと使える人のご意見を伺わないとわかりません。
僕も自炊生活がかれこれ15年、一応包丁も使ってはいます。
しかし所詮野郎の一人飯ですのでそれはもう適当なものです。
料理というよりは、食材を切り刻んで熱処理してる感じです。
幸い、今回の和包丁に加え、前回の打ち損じもバイヤーさんに引き取っていただけました。
柄を付けて、専門家に使っていただけるようです。
修正が必要な点が確認できましたら、もう少し本腰を入れて作ってみようと思います。
というわけで納品を終え、ほっと一息ついて「KIITO」を後にしました。
…やはり今回は、お客様とお話する機会が少なかったです。
口がさみしいので缶コーヒーを何本も飲んでしまいました。
健康のためにも、来年も2日間の会期でしたら、にぎやかであろう初日に参上する所存です。
どうぞよろしくお願いいたします!