2018春の銀座ブレードショーにお持ちした作品です
- 2018/02/24
- 16:20
無事銀座ブレードショーに行ってまいりました!
御来場いただいた皆様、ありがとうございました。
前回のお知らせが直前過ぎて、包丁のお客さまにも御来場いただきました!
申し訳ない気持ちもありましたが、やはり何年もお付き合いさせていただけるお客様。お会いできますと嬉しいです。
お土産もありがとうございました。
包丁は完成しましたらこちらでご連絡させていただき、発送いたします。
ショウの後は、所用で数日滞在して帰りました。
生来、街中は苦手な性分なのですが、たまに出歩くのはいいものです。
ホテルの窓から見える現代文明の直線と、流れ込む穏やかな冷気に、ほっと一息です。
なんといってもこの冬、山は冷えました。
電気炉の計器、上が現在の温度を示しているのですが、マイナスが付いています。
めずらしいものを見ました。
そして、冷え込みのピークは銀座ショウに向けた追い込みの時期にやってきました。
例によって何日か徹夜しましたが、ガタガタ震えがくる寒さでした。
なんと処理中の薬液にまで氷が張りました。
寒さを実感出来る光景です。
笑えてきました。
笑いながら、低温の為か動きが渋くなった鍛造機を調整していると、大事なボルトがねじ切れて真顔に戻りました。
その日は周辺地域の最低気温が氷点下9℃だか10℃だかだったようです。
ここに引っ越してきて、間違いなく一番の冷え込みでした。
ショウを終え、噴き出す疲労も、例年以上に感じられます。
ちなみに鍛造機は、器具によるボルト片の除去にも失敗してしまいました!
帰ってきてから分解して削るはめに。
冬場に鉄の塊と触れ合うと芯から冷えますねえ…
さて、そんな冬の夜を越えて産まれた作品を御紹介します!
ナイフは、販売用、納品用合わせて4本しかありませんでしたが、大きいものもありまして、今回もナイフ屋さんらしい見栄えの出展内容にはなったと思います。
まずは一番大きなこちら。
以前制作した「酔月」という作品をご覧になったお客様に、コレをククリナイフ仕様でと御注文をいただきまして制作しました。
長くお待たせしてしまいましたが、ようやくお渡し出来て一安心です。
お待ちいただきましてありがとうございました!
ブレイドの鋼材は、シンプルに高炭素鋼をメインに構成したものです。
それが今回は少々失敗で、幅のあるブレードに対して、あまりにも控えめな表情になってしまいました。
ということで、一旦作った鋼材表面に、新たにニッケル×低炭素鋼の薄いダマスカスを貼って鍛造しました。
ギリギリまで鍛造で成形した部分にコレが白く残り、研摩した部分の黒との対比で、いいアクセントになったと思います。
研摩部にもその白っぽい層がぽつぽつ残雪のように残りまして、この展示の時期にぴったりの趣です。
そして、こういった目立つ模様が加わると、引き立てあって控えめな表情も活きてきますね。
ヒルト的な金具は、前作では銀の鋳造品でしたが、今回はステンレスを溶接で盛りつけて制作しましたものです。
この金具には、鞘におさめた時にブレードを支える役割がありますが、今回のブレードは重くなりましたので、頑丈な材質に変更しました。
また、銀を用いる場合は、材料そのものが高価な為にあまり大きくできませんでしたが、今回は豪
快なサイズにできました。
溶接ですので、表情も細かく生々しいです。
この質感が、鍛造そのままの肌を多く残した今回のブレードと、妙に釣り合ってくれました。
鞘はブレイドの下にある茶色いもので、朴の木でできています。
この作品は色々な偶然にも助けられ、納得いく仕上りになりました。
が、残念ながらじっくり写真を撮る時間が無く、ブースで撮影できた画像は上の1カットのみです。
また、メンテナンス等でお預かりすることがありましたら、撮って御紹介させていただこうと思います。
こちらも、御注文をいただいて制作した作品です。
元々は包丁のオーダーをいただいたのですが、以前の作品のようにスタンドに立てられるように…との御要望をいただき、それを大きくしたようなデザインになりました。
やはり後ろには穴があいていまして、台の棒に刺して立てることができます。
そして、市販のガラスケースに納めていただきます。
こうしておくと、埃などの付着を防ぐことができ、鋼が錆びにくいです。
うっかり刺さることも防げます。
ブレイドの背中付近は、酸化被膜を付けて発色させています。
錆びる部分が少なくなるようにと、ステンレスやレアメタルを多く使ったダマスカスを用いましたが、この構成にすると自由に鍛接するのが難しくなります。
そのため、シンプルなダマスカスになってしまうのですが、こちらのブレードも幅がありましたので物足りなさを感じました。
そこで、一旦仕上げた後に勢い任せでこの処理を行ったのですが、悔しいくらいすんなりバッチリ決まりました。
あれこれ計画してもうまく行かない事は多いですから…
こちらも完成度が高い仕上がりになったと思います。
後は、前回御紹介しましたこの二本、
これらの台、鞘も無事に完成しました。
残念ながら今回は二本とも御縁がありませんでしたが…週末の神戸のショウにお持ちします!
神戸では、失敗しました包丁のブレードも並べてみるつもりです。
手元側に細かい剥離が多く見られます。
薄い為、すぐ冷めるのが原因かもしれません。
普段は大体切先を薄く、手元を厚く作る為、冷えやすい先端から叩いていく癖がありますので…
また、何か加工する度に反りが変わり、刃筋がなかなか真っ直ぐになりません。
やはり慣れない形は難しいですね…
ということで包丁としては使い物になりませんが、時間があれば柄を付けてみようかと思います。
コレで遊んでみたいという方は、お手にとってご覧ください。
バイヤーさんにお渡しするものもありますので、そちらも展示させていただく予定です。
というわけで、来週末の3月3日(土)・4日(日)には、神戸で「オールニッポンナイフショー2018」が開催されます!
会場はデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)1F KIITOホールです。
両日とも10:00~16:00までの開場となります。
僕の参加は、3月4日のみにさせていただいています。
そして当日に始発のバスで向かいますが、会場に着くのはギリギリになりそうです。
開場直後は設営中のお見苦しい状態が予想されます…
そんな感じですが、ご興味のある方は、是非僕のテーブルにもお立ち寄りください!